シルバー手入れノウハウ

つや消し仕上げの手入れ

シルバーアクセサリーの加工技術には、表面の光沢を出さないいわゆる「つや消し仕上げ」と呼ばれるものがあります。

「マット仕上げ」や、 果物の梨の表面に似ていることから「梨地仕上げ」とも言います。落ち着いたシルバーの色合いが人気ですが、汚れや黒ずみやすいのが欠点です。

通常、アクセサリーの表面をパフ研磨機という機械で研磨して光沢を出す処理の方が圧倒的に多いですが、「マット仕上」の場合には、研磨剤を付けたパフでは磨かずに仕上げます。

サンドブラストや荒めのポイントをつけたリューターで仕上げる場合もあります。光沢を押さえた落ち着いた独特の風合いが人気です。

マット仕上げのシルバーリング

シルバーアクセサリーの場合は、当然マット仕上げのものでも空気中の硫黄分と反応し黒く変色しますが、マット仕上げの物は、光沢仕上げをした銀の表面よりも、凸凹が多く表面積が多いため、変色が早くなります。

同じ表面積で比較すると光沢仕上げの表面積は縦X横ですが、マット仕上の場合の表面積は(縦x横)x 表面の粗さになり凸凹が多い分表面積が多くなります。

表面積が多いほど、硫化反応が起きる面積が多くなります。

シルバーアクセサリーの面積は、デザインやサイズが同じだと、同じ面積ですから、肉眼では、同じ面積の中で硫化反応が多く起きるマット仕上げの方が早く黒くなった様に見える訳です。

上の写真は、ティファニーのシルバーリングです。出っ張ってる部分は鏡面仕上げなので、きれいですが、凹んでいる部分はつや消し加工されていて、黒ずんでいます。

つや消し仕上げの手入れ

写真のリングは、ティファニーのアトラスリングです。ティファニーのなかでも人気の定番のシルバーリングです。

このリングの特徴は、出っ張っている部分が鏡面仕上げで、凹んでいる部分が、つや消しの梨地仕上げになっています。梨地仕上げのザラザラ感が、ローマ数字のデザインを引き立てています。

しかしこの凹んでいる梨地部分が汚れたり変色することが悩みのタネなんです。凹んでいることで汚れが溜まりやすく、磨くこともできないので、ほとんどの方は黒ずんだまま着けているようです。

マット仕上げのシルバーリング

梨地仕上げの場合、研磨するとせっかくの梨地がつぶされてしまいます。

ザラザラ感が光を乱反射させて白っぽくなり、鏡面の光沢とのコントラストでデザインを引き立たせる効果があるので、研磨できません。

こういった場合は、まず超音波洗浄器などを使用して凹んで取れにくい部分のほこりや汚れを取ります。

その後、変色(黒ずみ)は、液体シルバークリーナーに浸けて、ブラシなどでこすって取ってください。または、綿棒の先に液体シルバークリーナーを染み込ませてこすり取ります。

液体シルバークリーナーは研磨剤の入っていないものを使用してください。

マット仕上げのシルバーリング

このように黒ずみが取れて、梨地部分のザラザラが残っているのが分かります。出っ張った鏡面部分は、シルバー磨き布やポリッシュなどで研磨してやればお手入れ完了です。

マット仕上げのシルバーリング

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