銀食器やアンテークの銀時計、シルバーアクセサリーなどの裏側に入っている刻印がホールマークです。ライオンや王冠のマークや数字の入ったものや、様々なものがありますが、これを総称してホールマークと呼んでいます。
●ホールマークの一例
もともとは、金や銀などの偽造を防ぐために、1300年頃、イギリス政府からロンドンの金銀細工業者ゴールドスミス社が貴金属を検定し、刻印する特典が与えられ、この検定マークをホールマークといったのが始まりです。
●銀製のスプーンのホールマーク
●銀製ナイフのホールマーク
イギリスのホールマークは700年以上の長い歴史があり、その制度がしっかりと確立されているので、製品の検査された検定所や年代によって微妙に形が異なりますが、その製品がいつどこで作られたどんな品質のものかわかるようになっています。通常ホールマークは4~5個のマークで構成されます。
スタンダードマーク
ホールマークの中で一番大事な意味を持つのが、スタンダードマークです。このマークは横向きのライオンなどで表されますが、その製品がスターリングシルバーでできていることを表しています。 このマークがついていないということは、銀以外のもので出来ているか、または、定められた基準値である92.5%の銀を含んでいないということになります。
タウンマーク
タウンマークは、その製品がどこの検定所で検査されたのかということを示すマークです。町によってデザインが決まっていますが、年代によって微妙に形が異なります。このマークを見ただけでもおおよその年代を知ることも出来ます。
デューティーマーク
イギリスでは銀に税金が課せられた時期がありました。税が払われた製品にはそのときの君主のマーク(デューティーマーク)が刻印されるようになりました。
デイトレター
製品が検査を受けた年を示すためのマークで、1年ごとにマークが違います。デイトレターのデザインは、アルファベットであり、たいてい順番に年を当てはめてあります。Aから始まり、一巡するとまたAから始まりますが、形状が変えてあり、アルファベットの大文字、小文字、デザイン、枠の形で 識別します。
メーカーズマーク
製品の品質を維持するため、基準を下回る製品を製作した工房などを特定する必要がありました。そのため、製品にあらかじめ登録しておいた金銀細工師のマークをいれることが義務付けられていました。
1999年にイギリスのホールマーク制度はその純度を千分率で表記し、新たに800と999という基準が設けられ、それまでの刻印は任意で打たれることと改正されました。現在の、ティファニーやジョージ・ジェンセンなど、シルバー製品をみてみると、「925」や「SILVER」と刻印されています。しかし、年代の古いアンテークの銀製品をみると、様々なホールマークが打たれてあるのが分かります。シルバーアクセサリーを単に装飾品としてだけ見るのじゃなく、いつどこで作られたのを、想像しながら見るのも楽しいものではないでしょうか。