シルバー(銀)は人類が使用した最初の金属のひとつです。
すべての金属のなかで(水銀とともに)もっとも可視光線の反射率が高く(反射率は90%、赤外線は98%を反射します)、研磨することによってプラチナよりも強い輝きを出すことができます。
銀の元素記号「Ag」はラテン語で「白い輝き」を意味する「argentum」が語源です。また、展延性に富みあらゆる金属のうち熱や電気の伝導率が最大です。銀は自然界に広く分布していますが、他の金属に比べれば総量はきわめて少ないものです。
また、自然に存在する多くの鉱物中に含まれている点が、金とは異なります。銀は金やプラチナと違い、原子的に安定していません。化学変化を起こしやすく、すぐに変色します。 銀が酸化するといいますが、実際には銀は高い温度に加熱しなければ、通常の状態では酸化しません。 銀の変色のほとんどは硫化ですが、塩化反応もまれに起こります。
銀の性質
元素記号のAg は、ラテン語での名称 argentum に由来します。
室温における電気伝導率と熱伝導率、可視光線の反射率は、いずれも金属中で最大です。光の反射率が可視領域にわたって98%程度と高いことから美しい金属光沢を有し、大和言葉では「しろがね/しろかね(白銀: 白い金属)」と呼ばれました。
延性および展性に富み、その性質は金に次ぎ、1グラムの銀は約2200mの線に伸ばすことが可能です。
973℃において1気圧の酸素と接触する溶融銀は、その体積の20.28倍の酸素を吸収します。凝固の際、吸収した酸素を放出するため、表面がアバタとなるspittingと呼ばれる現象を起こします。
純銀の鋳造において、これを防止するには酸素を遮断した状態で行います。貴金属の中では比較的化学変化しやすく、空気中に硫黄化合物(自動車の排ガスや、温泉地の硫化水素など)が含まれていると、表面に硫化物Ag2S が生成し、黒ずんできます。
銀が古くから支配階級や富裕階級に食器材料として用いられてきた理由の一つは、硫黄化合物や硫化ヒ素のようなヒ素化合物などの毒を混入された場合に、化学変化による変色でいち早く異変を察知できる性質からという説があります。
銀イオンはバクテリアなどに対して強い殺菌力を示すため、現在では広く抗菌剤として使用されています。例えば抗菌加工と表示されている製品の一部に、銀化合物を使用した加工を施しているものがあります。
銀の産出
金とともに、中世ヨーロッパでは新大陸発見までの慢性的な不足品であって、そのため高価でもありました。特に16世紀後半から17世紀前半にかけての日本は東アジア随一の金、銀、銅の採掘地域であり、生糸などの貿易対価として中国への輸出も行っていました。
これらの金属は日本の貿易品として有用だったので、銀山は鎌倉幕府以前から江戸の鎖国終了からしばらく、明治に至っても国が直轄する場合が多かった。中でも島根県大田市の石見銀山は有名。その後、日本の銀山は資源枯渇のため、世界の銀産出地から日本の名前は消えました。
宝飾品としての利用
銀は、その白い輝きから宝飾品としても広く利用されてきました。貴金属のなかでは比較的産出量も多く安価であるため、日本では特に若者向けの宝飾品として人気がありますが、最近は一般的にも用いられるようになっています。
宝飾品などとして利用する場合、純銀では柔らか過ぎて傷つきやすいため、他の金属との合金の形で利用されます(この混ぜる金属を「割り金」と呼びます)。日本では一般的に銅を混ぜるが、加工性や高硬度のため他の添加金属を用いることがあります。古代エジプトでは銀は金よりも価値があり、金製品に銀メッキが施された宝飾品が存在します。
<カラーシルバー>
プラチナを混ぜたプラチナシルバーや金・パラジウムを混ぜたシルバー、また色合いを変えたイエローシルバー、ピンクシルバー、グリーンシルバーなどもあります。
<シルバーの呼び名>
Silver900 (SV900): コインシルバー
Silver925 (SV925): スターリングシルバー(品位記号 Sterling)
Silver958 (SV958): ブリタニアシルバー(品位記号 Britannia)
Silver1000 (SV1000): 純銀、ピュアシルバー
アクセサリーなどは、スターリングシルバー(SV925)が多く使われています。